これは保育士さんの実習生が質問して、著者が答えていく形式のとても面白い本。
引き続き神田橋條治先生オススメの方の本です。
とても勉強になることがたくさん書かれていました。特に精神科の臨床を考え直し、これから御子が成長していくにあたって参考になりまくりました!
『絵を描いてって言われたら?…要するに「描いて」っていうのは「表現して」っていうことで、表現はひょっとしたら絵ではなくてことばとかやりとりでもいいのかもしれない。p21』
→これは普段の臨床にも導入して考察を深めたい言葉。
『例えばその園で「戦いごっこを禁止してください」と言われた時に、「禁止する代わりにその子たちのエネルギーはどういう形で発散させてあげたらいいんだろうか?」っていう氣持ちを持ってほしい。p30』
→これもそうです。例えば食べ物あれダメこれダメという代わりにその人が理由あって食べていたわけだから(特に小麦グルテンはやめるのに人類は抵抗ある印象)何を求めてそれを食べていたか、その求めているものをこんな形で代償できないか一緒に考えるスタンスが必要だと認識しました。やってみます。
『それとね、そういう時の聞き方だけど、「何があったの?」「どうしたの?」と聞いても、なかなか何があったかは説明できない。だけど、ケンカが起こったということは嫌なことがあったということだけはわかるよね。そうすると「何が嫌だった?」と聞いてあげると…p40』
→これも明日の臨床に生きそうです。
『例えば、A君とB君がケンカしていて、A君が「B君が〇〇したんだもん」と言ったとしますね。それをそこにいるB君は聞こえているんだけれども、聞いてないんです。…だから、もう一度B君に「A君はB君が何々したって言っているよ?」と言ってあげること。p41
…2人には声は聞こえあってるんだけど、今は相手の言うことは聞きたくないんですよ。聞きたくないということは、同時に理解したくないということでもあるのね。そこであなたが入ってやることで…少し理解ができるの。p66』
→これは大人でも一緒じゃないでしょうか。第三者が介在して話が進むというのはこの作用があるかと。
『0・1歳児は絶対に後ろから突然抱かないでください。前からであっても、脇の下を急に捕まえて抱くというのは人権侵害です。p42』
→そうなんだ、全然知らなかった。。
『…その子の今の気持ちをそのままことばにしてやりながら、「でも、あなたの元気の出るまで待つよ、私はここにいるよ、よそには行かないよ、あなた自身の力で歩いていこうね、行ける力があるって信じてるよ」というようなメッセージをポツポツと伝えながら、その子の側にいてやるというのが一番大切かなと思います。p57』
→これも診察と一緒ですね。。心に留めとこう。
『「あなたも使いたかったんだよね、2人とも使いたかったんだよね、今みたいに取りっこして強い子の方が取っちゃって、その子が使ってしまっていいのかな?」という差し戻しが要るでしょう。p61』
→こういう言葉がけ、とても勉強になります。
『リズムが嫌だということは、リズム遊びが〝遊び〟ではなくなって、強制されたものになっていることに対する拒否感があるんだと思う。p70』
→遊びから強制に変わる時どこが境目でどんな機序なのか知りたいです。と書いていて、ゲームのやめさせ方を思い出しました。ただ親が勉強への介入と同じようにすれば止めさせることができると。強制するということですね。「もうゲームはやったの?だめじゃないやらなきゃ。もっとやりなさい」こういうことなのか。
『行方不明の探索じゃあるまいし、「どこどこにいます」と所在確認だけしてきたのでは、保育者とはいえないわけです。その子の気持ちの所までちゃんとつかまえて「どうも〇〇ちゃんは今こんな気持ちみたいです」ということまでちゃんとつかまえるなら、あなたがついていった意味もあるというわけです。p71』
→面白い、勉強になります。
『あくまでも、あなたたちは保育を学びにいっているのです。子どもに役に立つ会話をしなければいけないんです。p74』
→これも診察に生きます。とにかく来られた方に役に立つ会話をしないといけない。肝に命じます。
『「気持ちを伝えたいけど、うまく伝えられないからその子はそういう行動を取っているんだ」というように捉えれば、〝だだこね〟とは言わないと思うんです。今皆さんだけでなく、若い母親たちも「すぐだだをこねるんです」と使ってしまうけれど、そういう時は、大人側の価値観に子どもを乗せようとしているんじゃないかな、ということに気づいてください。p85』
→これも問題行動をとる(大人の)人に置き換えるとより理解が進みそうです。
『でも、ほかの子と発達レベルが対等ではないのに、対等に言い合いさせてしまっては、この子は自己主張できなくてとても辛い。p107』
→これは大人になっても同じことが言えるのではないでしょうか。対等ということを考える1つの深い材料になりそうです。
『皆さんは子どもが「嫌だ」と言うと、その嫌なところから話題をそらしてしまおうとするけど、実はその気持ちにちゃんと焦点を当てて、なんで嫌なのかとかを言語化させることも大切です。p109』
→「薬はイヤです」という方には別の方法をお伝えしていましたが例えばなぜイヤかを言語化してもらう方が回復を促進することになるかもしれない。そういう意味で良い示唆です。
『だから、触覚が本来持っている触覚防衛から愛着とか接触が気持ちいいというところへ進化していかないで、触覚防衛のまま育ってしまっている子どもたちが、増えてきたのではないかと思われます。p117』
→触られるのがイヤだという方の理解が深まります。
『してもイヤ。しなくてもイヤ。見守っててほしいってことなんだけど、なかなか親はそこが分からなくてね、「イヤならいいよ!」ってスーッといなくなってしまうために、「見捨てられ体験」を子どもたちは積み重ねてしまうんです。p123』
→これ、早速私もやりそうです。氣をつけよう。。
『とにかく、ぼーっとしている子に「ほら、しっかり!」って言う前にとにかくくすぐって、「きゃははは」って笑うまで10分位くすぐる。…「きゃははは」と言って、逃げ回り出したら保育を始める準備OKということです。いわばボーっとしたものが体の中に詰まっている時にそれを発散させてやらないと、次の活動っていうのは入っていかないわけです。p124』
→とてもいいですね。診察の前にくすぐったり、大人はイヤがる人もいるだろうから、マッサージとかそういうことを経ると回復も促進するかもしれない。
この本、保育士さんの卵の方にはとても役にたつ、精神科の臨床に当てはめたら更に役にたつ内容かと思いました。
反省、そして改変、改良。
寝たくなくて泣くけど、寝たら寝たで寝かしておいて下さいよ。
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